取締役の選任・解任と登記


法律上の役員とは、取締役・会計参与・監査役のことを言います。多くの会社で採用している会長・社長・常務・専務といった役職は、法律上の用語ではなく、定款の任意的記載事項として取締役に対して会長・社長・常務・専務といった序列を定めることが多いです。役員及び会計監査人は株主総会の普通決議によって選任します。この時、役員が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数を欠くこととなるときに備えて補欠の役員を選任することができます。この補欠役員の決議に係る効力は、定款に別段の定めがある場合を除き、当該決議後最初に開催する定時株主総会の開始のときまでとされています(会社法施行規則第96条3項。ただし、株主総会の決議によってその機関を短縮することもできます。

次に掲げるものは取締役になることができません。1.法人、2、 成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者、3. この法律若しくは中間法人法の規定に違反し、又は会社法第331条1項3号に掲げる証券取引法の罪、民事再生法の罪、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律の罪、会社更生法の罪若しくは破産法の罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者、4.3以外の法令の規定に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)
会社法では、旧商法で規定されていた、「破産手続き開始の決定を受け復権していない者」は取締役の欠格事由から除外されました。また公開会社でない株式会社については、取締役を株主に限定する旨を定款で定めることができるようになりました。

取締役の員数は、取締役会設置会社については3人以上必要ですが、非取締役会設置会社については1人又は2人以上で足ります。取締役の任期は、「選任」後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までを原則とし、定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することができます。旧商法では、取締役の任期の起算点は「就任」とされていましたが、会社法では「選任時」に変更されました。公開会社でない株式会社(委員会設置会社を除く。)においては、定款によって、取締役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することが可能となりました。 また取締役のうち、特定のもの一定の範疇に属するものを定款で明示して、取締役毎に格別に任期を定めることも可能であると解されています。委員会設置会社の取締役に任期については選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとされています。
1.委員会を置く旨の定款の変更、2.委員会を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更、3.その発行する株式の全部の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを廃止する定款の変更(委員会設置会社がするものを除く。)をした場合には、取締役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了します。 公開会社でない株式会社については、取締役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸張することができますので、株式の譲渡制限の定めを廃止して公開会社となった後も、この任期伸張の規定を存続させることは法の趣旨の照らして妥当ではないとの判断に基づき、株式の譲渡制限の規定を廃止した場合には、取締役の任期が満了することとされました。

取締役は、いつでも、累積投票により選任された場合を除き、株主総会の普通決議によって解任することができます(会社法第339条、同法第341条、同法309条2項7号)。 ただし、これにより解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができます。


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