取締役と代表取締役の登記


取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社(取締役会設置会社を除く。)の業務を執行します。取締役が二人以上いる場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定します。 この場合、1.支配人の選任及び解任、2.支店の設置、移転及び廃止、3.株主総会及び種類株主総会を招集する場合において定めるべき事項、4.取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令(会社法施行規則第98条)で定める体制の整備、5.定款の定めによる取締役の過半数の同意による役員の責任の免除については、各取締役に委任することができません。なお大会社においては、取締役は、上記4に関する事項は必ず決定しなければならないとされています。 取締役には、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない旨の忠実義務が定められています(会社法第355条)。

原則として、取締役は各自株式会社を代表します(会社法第349条1項)。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、その者が会社を代表します。 取締役会設置会社を除く株式会社は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができます。これに対し取締役会設置会社においては、取締役会の決議で必ず代表取締役を取締役の中から選任しなければなりません(会社法第362条3項)。 代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有するとされます。この権限に制限を加えた場合は、これを善意の第三者に対抗することができません。 また株式会社が、代表取締役以外の取締役に社長、副社長その他株式会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合には、当該取締役がした行為について、善意の第三者に対してその責任を負うされています。このような代表取締役のことを表見代表取締役といいます。

取締役等の役員が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有とされています(会社法第351条)。また権利義務を有する役員が存在しないような場合には、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時役員の職務を行うべき者を選任することができます。 代表取締役についても同様に権利義務に関する規定がおかれています(会社法第346条)。

取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益についての1.報酬等のうち額が確定しているものについては、その額、2.報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法、3.報酬等のうち金銭でないものについては、その具体的な内容については、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定めます(会社法第361条1項)。 なお上記2又は3に関する事項を定め、又はこれを改定する議案を株主総会に提出した取締役は、当該株主総会において、当該事項を相当とする理由を説明しなければなりません。

取締役は、次に掲げる場合には、株主総会(取締役会設置会社については取締役会(会社法第365条1項))において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければなりません(会社法第356条)。

  1. 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。(競業取引)
  2. 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。(利益相反取引・直接取引)
  3. 株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき(利益相反取引・間接取引)。

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