取締役会の登記


取締役会は、かつて株式会社においては必ず設置しなければならない会社の機関として規定されていましたが、会社法では、原則として定款の定めにより取締役会を置くことができるとする任意的な機関となりました。ただし、1.公開会社、2.監査役会設置会社、3.委員会設置会社については必ず取締役会を設置しなければなりません。取締役会は、すべての取締役で構成し、1.取締役会設置会社の業務執行の決定、2.取締役の職務の執行の監督、3.代表取締役の選定及び解職に関する職務を行います。ただし、1.重要な財産の処分及び譲受け、2.多額の借財、3.支配人その他の重要な使用人の選任及び解任、4.支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止、5.会社法第676条第1号(募集社債の総額)に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項、6.取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備、7.定款の定めによる取締役会の決議による役員の責任の免除について、8.その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができません。 なお大会社である取締役会設置会社においては、取締役会は、上記6に関する事項は必ず決定しなければなりません。

取締役会は、各取締役が招集します。ただし、取締役会を招集する取締役を定款又は取締役会で定めたときは、その取締役が取締役会を招集します。招集権者として定められた取締役以外の取締役は、招集権者に対し、取締役会の目的である事項を示して、取締役会の招集を請求することができます。この請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を取締役会の日とする取締役会の招集の通知が発せられない場合には、その請求をした取締役は、取締役会を招集することができます。また監査役設置会社及び委員会設置会社を除く取締役会設置会社の株主は、取締役が取締役会設置会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがあると認めるときは、取締役会の招集を請求することができます。この請求を行った株主は、当該請求に基づき招集され、又は会社法第367条3項に基づき招集した取締役会に出席して、意見を述べることができます。

取締役会を招集する者は、取締役会の日の1週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各取締役(監査役設置会社にあっては、各取締役及び各監査役)に対してその通知を発しなければなりません。ただし取締役(監査役設置会社にあっては、取締役及び監査役)の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく取締役会を開催することができます。取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、その過半数をもって行います。ただしこの要件は定款でこれを上回る割合を定めることも可能です。この決議において特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができません。 また取締役会の議事については、法務省令(会社法施行規則第101条)で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければなりません(会社法第369条3項)。なおこの議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令(会社法施行規則第225条)で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければなりません。 また取締役会の決議に参加した取締役であってこの議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定されます。

取締役会設置会社は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができます(会社法第370条)。

旧商法においては、重要財産委員会なる制度が存在しましたが、会社法ではこれを廃止し、取締役会の決議要件の特則に係る制度である特別取締役制度として構成することとなりました。取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)が、1.取締役の数が6名以上であり、2.取締役のうち1名以上が社外取締役である場合場合には、取締役会は、会社法第362条第4項第1号(重要な財産の処分及び譲受け)及び第2号(多額の借財)に掲げる事項についての取締役会の決議については、あらかじめ選定した3人以上の取締役(特別取締役といいます。)のうち、議決に加わることができるものの過半数が出席し、その過半数をもって行うことができる旨を定めることができます。この特別取締役については登記事項となります。


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