新設合併と登記


新設合併とは、2以上の会社がする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併により設立する会社に承継させるものをいい、会社の規模を拡大する手段として利用されます。株式会社、持分会社を問わず、すべての種類の会社は、すべての種類の会社と合併をすることができ、新設合併設立会社の種類も限定されません。2以上の会社が新設合併をする場合において、新設合併により設立する会社が株式会社であるときは、新設合併契約において、会社法第753条1項各号に掲げる事項を定めなければなりません。新設合併設立会社が持分会社であるときは、新設合併契約の記載事項は、会社法第755条1項各号に掲げる事項となります。新設合併の効力は、設立登記をすることによって生じます(会社法第49条)。

消滅株式会社等は、原則として株主総会の特別決議によって、新設合併契約等の承認を受けなければなりません(会社法第804条1項)。 新設合併設立会社が持分会社である場合には、新設合併契約について新設合併消滅株式会社の総株主の同意が必要です。新設合併消滅株式会社が種類株式発行会社である場合において、新設合併消滅株式会社の株主に対して交付する新設合併設立株式会社の株式等の全部又は一部が譲渡制限株式等であるときは、当該新設合併は、当該譲渡制限株式等の割当てを受ける種類の株式(譲渡制限株式を除く。)の種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が2以上ある場合にあっては、当該2以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会)の特殊決議が必要です(会社法第804条3項、同法324条3項2項)。ただし当該種類株主総会において議決権を行使することができる株主が存しない場合は不要です。 また新設合併消滅株式会社が種類株式発行会社ではない公開会社であり、かつ、当該株式会社の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が譲渡制限株式等である場合における当該株主総会においては、特殊決議が必要です(会社法第309条3項3号)。新設合併をする場合には、会社法第804条第2項(新設合併設立会社が持分会社である場合)に規定する場合を除き、 反対株主は消滅株式会社等に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができます。反対株主とは、第804条第1項の株主総会(新設合併をするために種類株主総会の決議を要する場合にあっては、当該種類株主総会を含む。)に先立って当該新設合併に反対する旨を当該消滅株式会社に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該新設合併に反対した株主(当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)、又は当該株主総会において議決権を行使することができない株主を言います(反対株主の株式買取請求につき会社法第806条、新株予約権の買取請求につき同法808条)。

新設合併をする場合における新設合併消滅株式会社の債権者は、消滅株式会社等に対し、新設合併等について異議を述べることができます。 消滅株式会社の債権者の全部又は一部が異議を述べることができる場合には、消滅株式会社は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者(異議を述べることができるものに限る。)には、各別にこれを催告しなければなりません。この異議申述期間は、1箇月以上必要です。消滅株式会社等が同項の規定による公告を、官報のほか、第939条第1項の規定による定款の定めに従い、同項第2号又は第3号に掲げる公告方法によりするときは、知れている債権者に対する各別の催告は、省略することができます。 債権者が異議申述期間内に異議を述べたときは、消滅株式会社は、当該新設合併をしても当該債権者を害するおそれがないときを除き、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければなりません。

新設合併をする場合には、株券発行会社である消滅会社は、新設合併に係る株式の全部について株券を発行していない場合を除き、当該行為の効力が生ずる日までに当該株券発行会社に対し当該株式の株券を提出しなければならない旨を当該日の1箇月前までに、公告し、かつ、当該株式の株主及びその登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければなりません(株券提供公告に付き会社法第219条1項6号、新株予約券提供公告に付き会社法第293条1項3号)


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