株式無償割当て
株式無償割当ては、募集株式の発行手続きのように株主からの申込みや払込手続きを取らないで、無償で株主に株式を割り当てることができる制度で、会社法とともに新たに創設された制度です。株式分割によく似ていますが、1.株式分割では同一の種類の株式の数が増加しますが、株式無償割当てでは、同一の種類の株式の割当てだけでなく、異なる種類の株式を割当てることもできること、2.株式分割では、自己株式の数も分割割合に応じて増加するのに対し、株式無償割当てでは自己株式の数には割当てが生じないこと、3.株式分割では、自己株式を割当てることができないのに対し、株式無償割当てでは自己株式を割当てることができるといった相違点があります。
株式無償割当てにおける手続きは、1.株主に割当てる株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法、3.株式会社が種類株式発行会社であるときは、当該株式無償割当てを受ける株主の有する株式の種類を定め、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役会設置会社においては取締役会の決議を得、非取締役会設置会社においては株主総会の普通決議を得なければなりません(会社法186条3項)。株式の無償割当ての効力が発生すると、当該株主の有する株式の数に応じて会社法186条1項1号の株式が割当てられ、種類株式発行会社では、当該種類の株式の数に応じて当該種類の株主に会社法186条1項1号の株式が割当てられます(会社法第186条2項)。株式会社は、株式無償割当ての効力発生後、遅滞なく株主(種類株式発行会社においては、会社法第186条1項3号の種類株主)及び登録質権者に対して、当該株主が割当てを受けた株式の数(種類株式発行会社においては、株式の種類及び種類ごとの数)を通知しなければなりません(会社法第187条2項)。