株式交換と登記(2)
株式交換完全子会社は、効力発生日の前日までに、株主総会の特別決議によって、株式交換契約書の承認を受けなければなりません(会社法第783条)。 株式交換完全子会社が種類株式発行会社でない場合において、株式交換完全子会社の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が持分等(持分会社の持分その他これに準ずるものとして法務省令で定めるものをいう。)であるときは、吸収合併契約又は株式交換契約について吸収合併消滅株式会社又は株式交換完全子会社の総株主の同意を得なければなりません。また株式交換完全子会社が種類株式発行会社である場合において、交換対価の全部又は一部が譲渡制限株式等(譲渡制限株式その他これに準ずるものとして法務省令で定めるものをいう。)であるときは、株式交換は、当該譲渡制限株式等の割当てを受ける種類の株式(譲渡制限株式を除く。)の種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が2以上ある場合にあっては、当該2以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会)の決議が必要です。株式交換完全子会社が種類株式発行会社である場合において、交換対価の全部又は一部が持分等であるときは、株式交換は、当該持分等の割当てを受ける種類の株主の全員の同意が必要です。
株式交換完全親株式会社が株式交換子株式会社の特別支配会社である場合には、株式交換契約書の株主総会の決議等は省略できます。ただし、株式交換における交換対価の全部又は一部が譲渡制限株式等である場合であって、株式交換子株式会社が公開会社であり、かつ、種類株式発行会社でないときは、株主総会決議等を省略することができません。会社法第784条2項各号に掲げる場合で株式交換完全子株式会社の株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株式交換完全子株式会社の株主は、消滅株式会社等に対し、吸収合併等をやめることを請求することができます。 また株式交換をする場合には、会社法第783条第2項に規定する場合を除き、反対株主は、消滅株式会社等に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができます。 ここでいう反対株主とは、1.株式交換をするために株主総会(種類株主総会を含む。)の決議が必要な場合においては、当該株主総会に先立って当該株式交換に反対する旨を株式交換完全子会社に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該株式交換に反対した株主(当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)、及び当該株主総会において議決権を行使することができない株主、2.1以外の場合のすべての株主を言います。
株式交換契約新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権である場合、当該新株予約権付社債についての社債権者は、株式交換完全子株式会社に対し、吸収合併等について異議を述べることができます(会社法第789条1項)。 この場合において、株式交換完全子株式会社は、会社法第789条2項各号に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者(同項の規定により異議を述べることができるものに限る。)には、各別にこれを催告しなければなりません。この異議申述期間は、1箇月以上必要です。 株式交換完全子株式会社がこの公告を、官報のほか、会社法第939条第1項の規定による定款の定めに従い、同項第2号又は第3号に掲げる公告方法によりするときは、知れている債権者に対する各別の催告は省略することができます。 債権者がこの異議申述申出期間内に異議を述べたときは、株式交換完全子株式会社は、当該株式交換をしても当該債権者を害するおそれがないときを除き、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければなりません(債権者保護手続き)。
株式交換をする場合には、株券発行会社である株式交換完全子株式会社は、株式交換に係る株式の全部について株券を発行していない場合を除き、当該行為の効力が生ずる日までに当該株券発行会社に対し当該株式の株券を提出しなければならない旨を当該日の1箇月前までに、公告し、かつ、当該株式の株主及びその登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければなりません(株券提供公告に付き会社法第219条1項7号、新株予約券提供公告に付き会社法第293条1項6号)。