株式と株券


株式会社は、社会に散在する多数の資本を集積して企業を営むことを目的として創設された制度であるため、多数の者が容易に資本参加しうるよう、株主たる地位は、細分化された割合的単位の形をとり、株主の地位から個性を切り離して、株主が選任する取締役に会社の経営を委ねるものとし、他方で会社債権者に対しては、何らの責任を負わないものとする間接有限責任(会社法第104条)としました。

株主は、その有する株式につき、1.剰余金の配当を受ける権利、2.残余財産の分配を受ける権利、3.株主総会の議決権、4その他この法律の規定により認められた権利を有するものとしました。ただし剰余金の配当を受ける権利及び残余財産の分配を受ける権利については、定款の定めをもってしてもこれを排除することはできないとされています(会社法第105条2項)。なお、1または2いずれかの権利が与えられているのであれば、他方の権利を定款で排除することは許容されます。

株式という社員の地位を表彰する有価証券を株券といい、会社法施行前までは、会社の成立後又は新株発行の効力発生後は、原則として株券を発行しなければならないと定められていましたが、改正後は、株券不発行が原則となり、例外的に定款で株券を発行する旨の定めを設けたときには株券を発行することができるとされました。そしてこの定めは登記事項とされていますので、この定めの効力が生じた日より2週間以内に登記しなければなりません。ただし公開会社でない株式会社については、株券を発行する旨の定めを設けた場合でも、株主から請求がある時までは、株券を発行しないことができます。(会社法第215条4項)

株式会社は、その発行する全部の株式の内容として特別の定めを設けることが出来ます。(会社法107条)

  1. 譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。譲渡制限株式と言われるものです。
  2. 当該株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること。取得請求権付株式と言われるものです。取得請求権付株式を有する株主から、会社に対して、当該株式を会社が取得するよう請求することができる株式のことです。
  3. 当該株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することが出来ること。取得条項付株式と言われるものです。会社の側から、一定の自由の発生を条件として取得条項付き株式を有する株主から、当該株式を取得することができる株式のことです。

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