商業登記について
商業登記は、会社や商人に関する一定の情報(商号や本店所在地、資本金、役員の氏名など会社と取引をする上で重要な情報)を商業登記簿に記録し、誰でもこれを閲覧できる状態に置くことで、商号、会社等に係る信用の維持を図り、取引の安全と円滑に資することを目的として創設された制度です。会社と取引をする者が不測の損害を被ることのないよう、会社の情報を商業登記簿に記録する段階で厳格なチェックがなされます。
商業登記簿に記録する情報は、商法、会社法、その他の法律の規定により登記すべき事項として定められた一定の情報に限ります。会社に関する情報は、法定事項に限らず、できるだけ多くの情報を商業登記簿に記録する方が、取引の安全という側面からすれば望ましいといえますが、会社の情報の中には外部に公表したくない営業上のノウハウなどもありますので、これらのバランスを考慮して、登記すべき事項は法律に定めた最低限度のものに限定しています。登記すべき事項として法律に定められている事項には、主に次のようなものがあります。(会社法911条3項各号)
- 目的
- 商号
- 本店及び支店の所在場所
- 株式会社の存続期間又は解散の事由についての定款の定めがあるときは、その定め
- 資本金の額
- 発行可能株式総数
- 発行する株式の内容(種類株式発行会社にあっては、発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容)
- 単元株式数についての定款の定めがあるときは、その単元株式数
- 発行済株式の総数並びにその種類及び種類ごとの数
- 株券発行会社であるときは、その旨
- 株主名簿管理人を置いたときは、その氏名又は名称及び住所並びに営業所
- 新株予約権を発行したときは、次に掲げる事項
- イ.新株予約権の数
- ロ.第236条第1項第1号から第4号までに掲げる事項
- ハ.ロに掲げる事項のほか、新株予約権の行使の条件を定めたときは、その条件
- ニ.第236条第1項第7号並びに第238条第1項第2号及び第3号に掲げる事項
- 取締役の氏名
- 代表取締役の氏名及び住所(第22号に規定する場合を除く。)
- 取締役会設置会社であるときは、その旨
- 会計参与設置会社であるときは、その旨並びに会計参与の氏名又は名称及び第378条第1項の場所
- 監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)であるときは、その旨及び監査役の氏名
- 監査役会設置会社であるときは、その旨及び監査役のうち社外監査役であるものについて社外監査役である旨
- 会計監査人設置会社であるときは、その旨及び会計監査人の氏名又は名称
- 第346条第4項の規定により選任された一時会計監査人の職務を行うべき者を置いたときは、その氏名又は名称
- 第373条第1項の規定による特別取締役による議決の定めがあるときは、次に掲げる事項
- イ.第373条第1項の規定による特別取締役による議決の定めがある旨
- ロ.特別取締役の氏名
- ハ.取締役のうち社外取締役であるものについて、社外取締役である旨
- 委員会設置会社であるときは、その旨及び次に掲げる事項
- イ.取締役のうち社外取締役であるものについて、社外取締役である旨
- ロ.各委員会の委員及び執行役の氏名
- ハ.代表執行役の氏名及び住所
- 第426条第1項の規定による取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人の責任の免除についての定款の定めがあるときは、その定め
- 第427条第1項の規定による社外取締役、会計参与、社外監査役又は会計監査人が負う責任の限度に関する契約の締結についての定款の定めがあるときは、その定め
- 前号の定款の定めが社外取締役に関するものであるときは、取締役のうち社外取締役であるものについて、社外取締役である旨
- 第24号の定款の定めが社外監査役に関するものであるときは、監査役のうち社外監査役であるものについて、社外監査役である旨
- 第440条第3項の規定による措置をとることとするときは、同条第1項に規定する貸借対照表の内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの
- 第939条第1項の規定による公告方法についての定款の定めがあるときは、その定め
- 前号の定款の定めが電子公告を公告方法とする旨のものであるときは、次に掲げる事項
- イ.電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの
- ハ.第939条第3項後段の規定による定款の定めがあるときは、その定め
- 第28号の定款の定めがないときは、第939条第4項の規定により官報に掲載する方法を公告方法とする旨