資本金の額の減少
株式会社は、会社法第447条1項各号に掲げる事項を定め、株主総会の特別決議を得て資本金の額を減少することができます。ただし、1.定時株主総会において第447条1項項各号に掲げる事項を定め、2.会社法第447条1項1号の額が1の定時株主総会の日(会社法第439条前段(会計監査人設置会社の特則)に規定する場合にあっては、第436条第3項(取締役会設置会社における取締役会)の承認があった日)における欠損の額として法務省令(会社法施行規則第68条)で定める方法により算定される額を超えない場合には、株主総会の普通決議で足ります(会社法第309条2項9号)。また株式会社が株式の発行と同時に資本金の額を減少する場合において、当該資本金の額の減少の効力が生ずる日後の資本金の額が当該日前の資本金の額を下回らない場合には、取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)で資本金の額の減少の決議をすることができます。減少する資本金の額は、資本金の額の減少がその効力を生ずる日における資本金の額を超えることができません。これは、資本金の額を零まで減少することができるということと、減資の効力発生日における資本金の額を基準として減少することがでいるという意味を含んでいます。たとえば、合併手続きと併行して、合併の効力発生日と同日を効力発生日とする資本金の額の減少手続きを行えば、資本金の額の減少の決議を行った時点の資本金の額にはとらわれずに、効力発生日時点の増加した資本金の額を前提に、資本金の額を減少することができます。
株式会社が資本金又は準備金の額を減少する場合(減少する準備金の額の全部を資本金とする場合を除く。)には、当該株式会社の債権者は、当該株式会社に対し、資本金等の額の減少について異議を述べることができます。ただし、準備金の額のみを減少する場合であって、1.定時株主総会において会社法第447条1項各号に掲げる事項を定めること、2.減少する資本金の額が1の定時株主総会の日(会社法第439条前段(会計監査人設置会社の特則)に規定する場合にあっては、第436条第3項(取締役会設置会社における取締役会)の承認があった日)における欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えないこと のいずれにも該当するときは、異議を述べることができません。
上記おいて債権者が異議を述べることができる場合には、当該株式会社は、会社法第449条2項各号に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならず、この異議を述べることができる期間は、1箇月を下ることができません。 ただし、株式会社が、官報で公告をするほか、会社法第939条第1項の規定による定款の定めに従い、同項第2号又は第3号に掲げる公告方法によりするときは、知れたる債権者に対する各別の催告を省略することができます。債権者が異議を述べることができるものとして定められた一定の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該資本金等の額の減少について承認をしたものとみなされます。債権者が異議を述べることができるものとして定められた一定の期間内に異議を述べたときは、株式会社は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければなりません。ただし、当該資本金等の額の減少をしても当該債権者を害するおそれがないときは不要です。
資本金の額の減少の効力は会社法第447条第1項第3号で定めた日に発生します 。ただし、債権者保護手続が終了していないときは、この限りではありません。