相続欠格
相続人となる資格があっても、民法で定める一定の事由に該当する場合は、その相続に関する相続人資格を剥奪される場合があります。これを相続欠格といいます。
相続欠格事由に該当する場合は、何らの手続きをとることなく当然に相続人としての資格を失い、同時に受遺能力を失います。(民965条)
相続欠格事由が相続開始後に発生した場合は、相続欠格の効果は相続開始時まで遡って発生します。
相続欠格事由は次の通りです。
1.故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者。
過失致死や傷害致死は、殺人の故意がないので除外されます。
2.被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であった場合は、除かれます。
3.詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者。
4.詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者。
5.相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者。
遺言書の破棄・隠匿行為が相続に関して不当な利益を得る目的でない場合は、5号の相続欠格自由にはあたりません。(最判平9.1.28平9重判・民法13事件)