遺産分割協議について


被相続人が死亡し相続が開始したら、遺言書がある場合を除き、各相続人が法定相続分に基づき被相続人の遺産を相続しますが、
相続人全員で遺産分割協議を行い、全員の合意の下に協議が成立すれば、法定相続分とは異なる相続分で被相続人の遺産を分配することができます。
遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して協議を行うことと民法で定めてられています。
遺産分割協議が成立しない場合には、法定相続分で遺産を分配するほか、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることができます。
また遺産分割協議を行うに当たって相続人の1人が行方不明の場合(生死不明を除く)、共同相続人が利害関係人として家庭裁判所に財産管理人の選任を請求し、この者と遺産分割協議を行うこととなります。
遺産分割協議が成立したにもかかわらず、相続人の1人が相続登記の手続きに応じない場合は、通常の訴訟または調停において手続きに応ずるよう請求することが出来ます。ただし手続きに応じないこと(債務不履行)を理由に一度成立した遺産分割協議を解除することは出来ません。

<参考条文>
民法
(不在者の財産の管理)
第25条  従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同様とする。
2  前項の規定による命令後、本人が管理人を置いたときは、家庭裁判所は、その管理人、利害関係人又は検察官の請求により、その命令を取り消さなければならない。

(遺産の分割の協議又は審判等)
第907条  共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる。
2  遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる。
3  前項の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。

(遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)
第908条  被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。

(遺産の分割の効力)
第909条  遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。


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