手形・小切手の知識
1.手形の知識
手形は、商売における代金決済の手段としてよく利用されます。大量に商品を仕入れるときに、その代金をすぐには支払うことができない場合に、その支払いに代えてに手形を渡しておけば、支払期日を先延ばししてもらうことができます。手形の種類には約束手形(手形法第1編)と為替手形(手形法第2編)があります。
- 約束手形
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手形に書かれた支払期日にお金を支払うことを約束する証券。手形を振り出した人のことを振出人、手形を受け取る人のことを受取人、支払期日のことを満期と言います。
- 為替手形
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BがAに商品代金を支払う代わりに手形を振り出す際に、BがCに対して商品の売掛債権を有している場合には、AはBに代わりにCから代金を支払ってもらうよう請求することができる手形のこと。約束手形と違い、手形に絡む当事者が3人登場します。手形を振り出した人のことを振出人、手形の代金を支払う人のことを支払人または名宛人、代金を受け取る人のここと指図人と言います。
手形は、法律に定められた一定の記載事項が書かれていないと、無効になるおそれがあります。約束手形と為替手形の記載事項として掲げられている事項は次のとおりです。手形を振り出す際や、受け取る際には、以下の項目の記載の有無に注意しましょう。
約束手形の法定記載事項(手形法第75条)
- 「約束手形」である旨を示す文言
- 一定の金額を支払うべき旨の単純な約束(例 金壱千万円、\10,000,000- 金、円、\、−は変造を防ぐ目的で記入する。「単純な」とは支払いに条件がついていないこと。)
- 満期(支払期日)の表示
- 手形金額の支払いをなすべき場所
- 受取人
- 振出日及び振出場所
- 振出人の署名
為替手形の法定記載事項(手形法第1条)
- 「為替手形」である旨を示す文言
- 一定の金額を支払うべき旨の単純な委託(例 金壱千万円、\10,000,000- 金、円、\、−は変造を防ぐ目的で記入する。「単純な」とは支払いに条件がついていないこと。)
- 支払人
- 満期(支払期日)の表示
- 手形金額の支払いをなすべき場所
- 受取人
- 振出日及び振出場所
- 振出人の署名
裏書
手形債権を譲渡する場合は、裏書(手形法第11条、同法第77条1項1号)によって行います。裏書は手形の裏面に被裏書人に手形金額を支払うべき旨の文言と併せて手形債権の譲渡人(裏書人)が署名することによって行います。(手形法第13条)
裏書すると、支払人が満期日に支払わず不渡りとなった場合には、原則として被裏書人はその支払いを裏書人に請求することができます。法律上これを遡及(手形法第43条)といいます。裏書すると連帯保証人に近い責任を行うことになりますので注意しましょう。
手形の割引
実務上よく聞く言葉に、手形の割引というものがあります。これは手形の満期日前に、手形を銀行に持っていき、手数料を支払って買い取ってもらうことをいいます。
2.小切手の知識
小切手も手形と同じく代金決済の手段として利用されるものですが、手形との違いは次のとおりです。
- 小切手には支払期日がありません。は一覧払いといって、受取人が小切手を支払いのために呈示をした時が満期となります。
- 受取人欄がありません。小切手を持参した人に支払うことを原則とします。
小切手も手形と同様、法律に定められた一定の事項が記載されていないと、無効となるおそれがあります。小切手の法定記載事項は次のとおりです。(小切手法第1条)
- 「小切手」である旨を示す文言
- 一定の金額を支払うべき旨の単純な委託(例 金壱千万円、\10,000,000- 金、円、\、−は変造を防ぐ目的で記入する。「単純な」とは支払いに条件がついていないこと。)
- 支払人
- 支払いをなすべき場所
- 受取人
- 振出日及び振出場所
- 振出人の署名