不動産登記と決済


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不動産売買の取引においては、代金の支払いと権利証(又は登記識別情報)の引渡しを同時に行います。この時、司法書士が売主と買主から必要書類を預かり、本人確認とともに必要書類の有効性を確認します。ここで必要書類に不備があり、登記の申請が受け付けてもらえないことになると不動産の代金は売主に渡ってしまったのに、不動産の名義は変更できないという事態が発生します。もし売主が初見で、これが悪徳業者であったとしたならば、書類の修正に難癖つけて応じてもらえない、もしくは連絡が取れないというトラブルに巻き込まれる恐れがあります。そこでこのようなトラブルを未然に防止するために司法書士が不動産取引の代金決済に立会い、本人確認と必要書類の有効性を確認します。

売買契約が成立すると、契約当事者双方に、相手方が債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒絶することが出来るとする同時履行の抗弁権という権利が民法533条の規定に基づき発生します。これは売買や交換などの双務契約であれば、不動産、動産を問わず発生します。店頭で商品を購入する場合は、レジで代金と商品の引渡しを同時に行うことができますが、不動産取引の場合は、不動産そのものを引き渡すという行為自体が観念できないので、代わりに不動産の権利証(又は登記識別情報)他登記の申請に必要な書類を引き渡し、それぞれの書類の有効性を確認したうえで、代金の支払いを同時に行います。

ただし不動産登記のオンライン申請がスタートし、権利証が登記識別情報に変わり、登記識別情報の失効制度が設けられたことで、今後は同時履行を担保することが難しくなります。登記識別情報という12桁の英数字から失効の有無を確認するためには法務局のコンピューターにアクセスする必要があり、代金決済の現場からその有効性を確認するためには様々な障壁が存在します。この法務局のコンピューターで照合する制度のことを有効確認または失効していないことを確認するための制度といいますが、これを行うには登記識別情報と印鑑証明書、委任状への実印の押印が必要で、司法書士が事前にこれらの書類を預かるか、不動産取引の決済当日にこれらの書類を預かり管轄の法務局まで出張して確認する必要があります。前者の場合、司法書士に預けるとはいえ、事前に債務を履行させることとなりますので、不動産取引に立ち会う司法書士が顔見知りでもない限り、不動産の所有者としては若干抵抗があるでしょう。、また後者の場合、法務局までの出張に要する時間によっては、決済の場所で長時間、売主と買主、仲介業者を待たせることにもなりかねません。またこの有効確認をオンラインで行う場合、申請人が電子証明書を事前に取得していなければならず、かつ決済場所にインターネット環境が整っている必要があるといった様々な問題が残ります。オンライン申請を前提とする新不動産登記制度は、まだ始まったばかりですから、こういった問題は今後の課題と言えましょう。

まだ日本では認可が下りていない電波で、次世代高速通信ワイマックスというものがあります。これが普及すれば、上記のようなインターネット環境の問題はかなり改善されるかもしれません?


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