株式の併合の登記


株式の併合とは、株主が持っている株式の全体的な経済的価値を維持しつつ、数個の株式をひとつのまとめて発行済株式総数を減少させるという制度で、株式分割の逆パターンにあたる制度です。株式数を減らすといっても。たとえば1株の株価が100円の株式について、10株を1株に併合すると、1株の株価は1000円となります。株式併合は主に株価の低迷を改善したり、株券を発行する費用や株主に郵送する資料などの事務コストを抑えるための手段して用いられます。

株式会社は、株式の併合をしようとするときは、その都度、1.併合の割合、2.株式の併合がその効力を生ずる日、3.株式会社が種類株式発行会社である場合には、併合する株式の種類を定め、株式の併合をすることを必要とする理由を説明(会社法第180条3項)したうえで株主総会の特別決議を得なければなりません(会社法第180条1項、同法第309条2項4号)。ただし種類株式発行会社においては、株式の分割によりある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が2以上ある場合にあっては、当該2以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会。)の特別決議が必要です(会社法第322条1項2号、同法第324条2項4号)。株式会社は、会社法第180条条2項2号により定めた株式併合の効力発生日の2週間前までに、株主(種類株式発行会社にあっては、同項第3号の種類の種類株主。)及びその登録株式質権者に対し、同項各号に掲げる事項を通知または公告をしなければなりません。

株券発行会社が株式の併合をする場合には、株式併合の効力が生ずる日までに当該株券発行会社に対し株式併合に係る株式の株券を提出しなければならない旨を当該日の1箇月前までに、公告し、かつ、当該株式の株主及びその登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければなりません(会社法第219条「株券提供公告」)。株主は、会社法第180条第2項第2号により定めた株式併合の効力発生日に、その日の前日に有する株式(種類株式発行会社にあっては、同項第3号の種類の株式。)の数に株式併合の割合を乗じて得た数の株式の株主となります。

なお、旧商法下における通達において、株式併合の決議は、発行可能株式総数を減少する旨の決議がされなかった場合でも、当該株式併合の割合に比例して発行可能株式総数 を減少する旨の決議を含む(S57.11.13民四6854号)とする取り扱いはしないこととなりました。(基本通達第2部第2,4,(2),イ,(ア))


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