マルチ商法とクーリングオフ


マルチ商法によるトラブルに巻き込まれた場合でも、法で定めた一定の要件を満たす場合には、消費者の側から一方的に契約を解除できます。
特定商取引に関する法律では、マルチ商法を連鎖販売取引と定義して規制しています。
連鎖販売取引とは、取引形態が商品を販売するなどシステムで、取引料・加盟料・保証金などといった特定負担を要するもので、加入者が他の加入者が支出した特定負担から一定の利益を得られるものを言います。
連鎖販売取引において、現実に利益を得られるのは、組織の上位にいるものに限られ、それ以外のものについては投下資本すら回収できまま勧誘に行き詰ったり、組織自体が突然倒産をし連絡すら取れなくなり、組織に加入するために必要な資金の返済で消費者金融に追われ、勧誘した親戚や知人との信頼関係が破壊されるなどの問題が多発しています。

マルチ商法と似たようなものに「ねずみ講」があります。
ねずみ講とは、入会者が無限に増加していく組織で、先順位者が後順位者に入会を持ちかけ、後順位者は入会金などの金品を出損し、先順位者は後順位者が出損した金品から自分が出損した金品の価格または数量を上回る価格または数量の金品を受領する内容であるものを言います。
マルチ商法と区別する大まかな目安は、商品等の流通システムが介在しているか否かです。
ねずみ講は、無限連鎖講防止法により全面禁止とされているため、当該取引に関する契約は、公序良俗違反により無効と解されます。
また、組織の開設者や運営者には懲役や罰金が科され、勧誘者には罰金が科されます。

マルチ商法など、連鎖販売取引に該当する場合におけるクーリングオフの要件は特定商取引に関する法律で次のように定めています。

(連鎖販売契約の解除等)
第40条  連鎖販売業を行う者がその連鎖販売業に係る連鎖販売契約を締結した場合におけるその連鎖販売契約の相手方(その連鎖販売業に係る商品の販売若しくはそのあつせん又は役務の提供若しくはそのあつせんを店舗等によらないで行う個人に限る。以下この章において「連鎖販売加入者」という。)は、第三十七条第二項の書面を受領した日(その連鎖販売契約に係る特定負担が再販売をする商品(施設を利用し及び役務の提供を受ける権利を除く。以下この項において同じ。)の購入についてのものである場合において、その連鎖販売契約に基づき購入したその商品につき最初の引渡しを受けた日がその受領した日後であるときは、その引渡しを受けた日。次条第一項において同じ。)から起算して二十日を経過したとき(連鎖販売加入者が、統括者若しくは勧誘者が第三十四条第一項の規定に違反し若しくは一般連鎖販売業者が同条第二項の規定に違反してこの項の規定による連鎖販売契約の解除に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことにより当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、又は統括者、勧誘者若しくは一般連鎖販売業者が同条第三項の規定に違反して威迫したことにより困惑し、これらによつて当該期間を経過するまでにこの項の規定による連鎖販売契約の解除を行わなかつた場合には、当該連鎖販売加入者が、その連鎖販売業に係る統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者が経済産業省令で定めるところによりこの項の規定による当該連鎖販売契約の解除を行うことができる旨を記載して交付した書面を受領した日から起算して二十日を経過したとき)を除き、書面によりその連鎖販売契約の解除を行うことができる。この場合において、その連鎖販売業を行う者は、その連鎖販売契約の解除に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。


サイト内検索

業務のリスト

つねかわ司法書士事務所

当サイトのバナーです。ご自由にお使い下さい。